懐にお金を抱えて帰ってきた ちか から、詳細を聞いた俊次は、神妙に、老僧のお言葉を受け止め、肝に銘じました。
自分達は、そのお寺の檀家でもなく、縁もゆかりもないといえばそれまでなのに、借金しては、商売初めの負担になるからと、お祝いだと言ってお金をくれた老僧に、手を合わせながら、誓ったのであります。
自分勝手に思い描いた金額は得られなかったけれど、大きな教訓と共に、拝借したお金で何とか商売をはじめ、一刻もはやく老僧にご恩返しをしよう! そして、自分たち夫婦は、生涯で2度と借金はしない!・・・と。
この思いは、俊次もちかも全く同じで、俊次は、これまで兄の瓦製造の仕事を手伝っていた時の修行・経験から、すぐに、瓦を焼く炉(といっても土を練って作る土窯)の製作準備にかかりました。
ちかは、俊次を手伝い、3人の男の子と格闘しながら、燃料となる松葉、原料粘土の調達に奔走です。
お寺の老僧が祝い金と言って貸してくれたお金は、燃料の松葉を分けて頂く費用として、なくなってしまいましたが、それでも、2人がその気になれば、ガンガン準備は進みます。
そして昭和10年、さくら吹雪の舞う頃、
俊次の築いた土窯から、第1号の製品を、俊次とちか が、頬や鼻についたススをぬぐうのも忘れ、1枚ずつ丁寧に取り出すに至りました。
いぶし瓦を焼くのに、山にある松の葉を乾燥させ、燃やして使っていた時代です。
二人の姿を”松葉”に見立て、大事に瓦を窯から取り出すイメージから、後に、次男の茂男は、法人設立時に松葉を二つ組み合わせた中に"瓦"の文字を入れたデザインを社章と制定しました。
幼い頃 創業期の、両親の姿の記憶でした。
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