イタリア漆喰 ラスチコ

イタリア原産 天然素材の漆喰を直輸入でお届けします。

創業期ものがたり 第 2 話

第 2 話 借りたら あきまへん          
    
昭和10年当時、田舎の村に銀行などあるはずもなく、ちかは、今で言うと、銀行へ初めて融資を申し込むようなつもりで、村のお寺の住職さまの所へ行ったのです。

そのお寺は、旧姫路城主の家系を汲む、由緒正しいお寺で、村の大部分の田畑・山林を所有する大地主でもありました。

ちか、若干26歳、単身お寺へ乗り込みました。
同じ村のお寺だというだけで、普段から信仰厚い訳でも、お寺へ寄り付いていた訳でもなく、どちらかというと、お寺などとは、無関係な人でしたが、お寺は、門前払いする事もなく、ちかを客間に入れてくれました。

緊張と、不安と孤独感で、ちかのその時の印象では、その客間が、30畳くらいあるように、広く思えたと言います。2月に入ったばかりの、寒い日のことです。

老僧を前に、これまた今で言うプレゼンテーションのように、ちかは、これまでの経験、これからの計画とやる気、お金を貸してほしいこと、主人は寝る間も惜しんで瓦を作っているので、この場所にこれない事など、トツトツと、語りました。

聡明な老僧は、じっと、黙って、まだ小娘に見える ちかのいう事に耳を傾けてくれていましたが、ちかの話が終わると、黙って立って、別の部屋へ行ってしまいました。

そして、老僧は穏やかに、ちかに言いました。
「商売初めに、お金は借りたらあきまへん。これから商売を始めたら、お金はなんぼでも要ります。最初から安易に借金を抱えたらあきまへん。そんな大金は、ようお貸ししませんが、商売初めのお祝いとして、これを渡しますから、返さんでよい。がんばりなさい」と。

お金の価値が違うのですが、今に例えると、ちかは300万くらいのお金を貸してくださいとお願いに行って、お祝いだと言って、約10分の1の、30万円相当の大金を出資してもらったのでした。
ガッツに溢れていた ちかは、「決して頂く訳にはいきませんが、必ずお返し致します。商売の信用にかけて一日も早くお返しできるよう励みます。」と言って、大事にお金を抱えました。
結婚後どんなにいじめられても”泣き”の入らなかった勝気な ちかでしたが、帰り道、冷たい風の中、ありがたさと、緊張からの解放で、涙があふれて止まらなかったのでした。
                  
          
      
 次回につづく・・・ 第 3 話 「土窯1基から」 http://d.hatena.ne.jp/mikamsmatuuu/20060406
             
       
   松岡瓦産業 沿革・社歴 のページ http://d.hatena.ne.jp/matsuokak/20130923/1379900987
       
   松岡瓦産業㈱ サイトTopページへ  http://www.matuokak.co.jp
        
          
            
             
         
        
          
       
       
        
          
          
      
       
     
      
       
      
        
      
     
     
      
       
      
       
         
       
         
       無断の転用はご遠慮ください。copy right : 松岡瓦産業㈱ Matsuoka roofing inc.