第 5 話 ひたすらコツコツ 窯積みをし、火入れ・焼成・いぶし工程を終えると、窯出しまで3日くらい時間が空きます。その間に、成形したりするのですが、俊次は、積極的に時間をつくっては、自転車で、小野市、三木市、飾磨郡など、片道30kmくらいのとこ…
第 4 話 朝星 夜星のぶっ通し これまで兄の瓦製造の仕事を手伝っていた俊次の、瓦職人としての腕は、悪くはなかったようで、大きな失敗もなく、創業初の瓦から、順調に生産を開始できました。妻ちかと2人で始めたのですが、すぐに2人、3人と人を雇って仕…
第 3 話 土窯1基から 懐にお金を抱えて帰ってきた ちか から、詳細を聞いた俊次は、神妙に、老僧のお言葉を受け止め、肝に銘じました。 自分達は、そのお寺の檀家でもなく、縁もゆかりもないといえばそれまでなのに、借金しては、商売初めの負担になるから…
第 2 話 借りたら あきまへん 昭和10年当時、田舎の村に銀行などあるはずもなく、ちかは、今で言うと、銀行へ初めて融資を申し込むようなつもりで、村のお寺の住職さまの所へ行ったのです。そのお寺は、旧姫路城主の家系を汲む、由緒正しいお寺で、村の大部…
第 1 話 自分たちの商売 昭和2年、松岡俊次(25才)・ちか(18才)は、縁あって結婚しました。 2人は、結婚式の場で、初めて顔を合わせ、ちかは、どの人が、自分の旦那さんだろう?と思っていたといいます。 2人は、俊次の兄がしていた いぶし瓦の製造の仕事…